うざゴリ#27|ひとり暮らしの親の孤独死×桜木町でもないのに

うざゴリ

齢73にして母から三下り半を突きつけられ「ポイ」された父。
私たち姉弟の大好きだった父は今は昔。

「縦のモノを横にもしない大酒のみの頑固なウザいゴリラ」と化した父は、浴室からひとりでぽっくり旅立った。山積みの問題と未処理の面倒と、どうしようもない笑いを数多く遺して――。合掌、うざゴリ(没75)

うざゴリ~シシテ尚、迷惑をかける父へ贈る最期の小言 #27

父に関する手続きを済ませるたびに、死亡検案書を提出する。
これまでの人生で経験したことのないその行為にすっかり慣れた頃、実家近くのバス停でふと父の後姿を探した。

あっ、いるわけないんだ。

とたん、山崎まさよしさんの「One more time,One more chance」が脳内に流れてすこし笑ってしまった。あの曲は失った恋人を想う歌だったはず。

もう絶対に、なにがあっても、街で偶然に会うことはないんだな。

父が亡くなり、慌ただしくひと月が過ぎた。
弟達と会うことや連絡を取り合うことが珍しくなくなった。
きょうだい喧嘩をするたびに「なんで喧嘩するんだ、たった3人のきょうだいなのに」と父は大げさに嘆いていたから、今の私達をどこかから覗いて、うむうむと満足げに頷いている気もする。

「やれば終わる」を合言葉に、父の遺した大小問わずの面倒事を片付けていく。

この日は午後から父が山本さんと共同経営をしていた事務所に――おそらく最後になるであろう挨拶と、掃除の手伝いをするべく足を運ぶことになっていた。

「いやぁ、たいへんなお知らせがありますわ。まいりましたわ」

言葉とは裏腹にどこかゴシップを楽しんでいるような山本さんの口調に、嫌な汗が背中につたう。まだ、あるのか。まだまだ、出てくるのか。

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