うざゴリ#30|ひとり暮らしの親の孤独死×隠し子

うざゴリ

齢73にして母から三下り半を突きつけられ「ポイ」された父。
私たち姉弟の大好きだった父は今は昔。

「縦のモノを横にもしない大酒のみの頑固なウザいゴリラ」と化した父は、浴室からひとりでぽっくり旅立った。山積みの問題と未処理の面倒と、どうしようもない笑いを数多く遺して――。合掌、うざゴリ(没75)

うざゴリ~シシテ尚、迷惑をかける父へ贈る最期の小言 #30

シン・妹がいるとして、私達の人生はなにか変わるだろうか。
シン・弟もいるかもしれない。なんならシン・兄貴もいるかもしれない。

初めて会ったきょうだいで和気あいあい。ってなことは、真面目な長弟にいたっては未来永劫ぜったいに無理であろう。私と末弟の好奇心旺盛コンビはなんとかなりそうだけど。

父の遺した全財産68,000円ぽっちと、借用書の束と、非嫡出子である妹(+α)どれもこれも密接に関係しているんだろうな、きっと――。

「ファミレスに先に行っててほしい」
弟の目が山本さんとしたい話があるんだ、と言っている。

「父がお世話になりました。数々の御面倒、申し訳ありませんでした」
「いえいえいえいえ。仕事はできた人ですから、助かりましたから。仕事だけは本当にできた人ですから」

ありがとうと言うべきか。へんな強調すんなよとつっこむべきか。弟の苦笑いが“まぁまぁまぁ”と宥めているから、ここは大人として長女として深々と頭を下げてこの場をあとにしよう。

仕事人間だった父が大切にしていた場所。父と何度も言い合いをした場所。雨の日もうだるような暑い日も毎朝6時に起きてお弁当を作って届けた。面倒だとこぼしながら、それだって楽しかった。

もう二度と私はここへ来ることがないだろう。

父がお世話になりました。
お父さんは……父は本当に、本当にダメな人でしたか?

ファミレスの軽快な入店音がなんだかとても白々しい。1人が欠けて、1人が増えた私のファミリーは今後どうなっていくんだろう。

「おねえさんここです!」
真面目な弟がとてもだいじにしている義妹が立ち上がって席をしらせる。

「ありがとう、ああ疲れた。あの子はもっと疲れてあとでここにくると思う」
「なにかあったんですか……」
「後であの子も言うと思うけど、簡単に話すと私達に妹ができたわよ」
「う”……!」

そりゃ天ぷらものどに詰まるわよね。「はい、お茶お茶!」

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