かぎりなく毒母だった母の老後を遠くから見守るブログ#02

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毒母の老後を生ぬるく見守る

齢69にして三下り半を父に突きつけ熟年離婚をした母。

悠々自適を夢に見て、縁もゆかりもない大都市で新生活を送っていたある日、青天の霹靂がやってきた。それはかつて夫だった男の訃報、DEAD in the BATH。
さいごに笑うのは毒母かそれとも――。

私達姉弟と父の末の妹である叔母の4人は、長弟が勤務先から紹介されたという弁護士に相続放棄の手続きを任せて以前の生活に戻っていた。

私は独立準備に忙しく、長弟夫婦はながらく憧れだったという東京暮らしを楽しんでいるようだった。しかし人生にはやはり「まさか」がつきものらしい。

「チーミン三兄弟も相続人だと判明したので一応伝えておきます」

今年の1月、ピンク色の故人となって旅立った父は4人兄妹。今や末っ子の叔母さんだけが幼い頃の父を知る生き証人だ。

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10年前に亡くなったもう一人の叔母の忘れ形見である3人の息子を、私達は長男である志明zhìmíngの名をとって「チーミン三兄弟」と呼んでいた。

「おばさんが父さんより先に亡くなった時点で、おばさんの相続権がチーミンらに移ってた。代襲相続というらしい」

「なるほど、報告ありがとう。それはわかったけどあんたの用意した弁護士は大丈夫なの? なにを今頃……」

「ごめん! それは言わないで」

「……で? 今は母と誰が揉めてるの?」

「母側はチーミンらに対して相続放棄をしないでほしいと伝えてきたみたい。おそらく管財人を入れると時間がかかる上、相続の取り分が少なくなるんだろうな」

「第2シーズン突入か」

「だから相続状態を維持してもらってる間に母が家を売って、売れたら半分なりを渡す、みたいなことを考えてのことなのかなと想像してます」

「触らぬ神に祟りなし。チーミンがんばれ!」
「他人事 笑」
「チーミン達は今どこにいるの? 香港? 台湾?」
「横浜市民」
「あら、近いじゃない。あんた頼んだわよ」
「えぇ……ていうか……あの人、お金に困ってるのかな」
「お母さんが離婚後にすっごい散財してたこと知らないの?」

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