関東では「結界が張られているのではないか」とまことしやかに、都市伝説的にささやかれている地域がある。自然災害などが「その一角だけ」をどうしても避けてしまうのだそう。
私には「もしや、結界が張られている?!」と疑ってしかたない地域がありました。そこに行こうとすると妨害が入り、どうしてもたどり着くことができない。
まさかの結界が張られているのか!?
18歳の大晦日、春から上京することが決まっていたため大阪でもなく神戸でもなく、いつかは行ってみたいと憧れていた「八坂神社」へ初詣に。大晦日は阪急電車も深夜営業中で車内は、満員だった。
あの日から25年以上の時間がすぎた。
その間、少なく見積もっても6回は京都にはじきとばされている。
どうしてもどうしても、私は京都にたどり着けないでいた。
- 乗車していたタクシーが交通事故に遭い、断念。
- 一緒に行くはずの友人が新横浜駅で突如閉所恐怖症を発症、断念。
- 迷惑行為を頻発するひと家族をのぞいたマンション住民みんなで、京都で有名な縁切り神社におまいりに行こうと旅行計画。当日の朝5時腹痛で激痛。のたうちまわるほどの痛みに断念。
- 京都旅行(ロケ)を目前に控えていたのに、父死亡により断念。
- 他
とにかく京都にたどり着けない!
そうだ、無理やりにでも京都行こう
今後関西でも仕事を拡大していくつもりなのに、京都からなぞの拒絶をうけているのは困るということで――この話を面白がった仕事仲間の粋な計らいにより(?)、半分プライベート旅行、半分京都ロケハンが組まれた。
「1週間前から生活に気をつけてね!」
「いつもと変りない暮らしをしていた方がいいよ」
「自転車の運転中、犬の散歩中、車に気をつけるんだよ」
「生きてる?」
入れ替わり立ち代わりクルーから生存確認が入る。「大丈夫だってば~」とLINEやDMを余裕で返していたのは、京都行き2日前まで。
やっぱりか! 京都に試される私
なんかおかしい。
なんだか違和感。
鼻の奥、喉の奥がむずむずする。
このむずむずの正体を私は経験則で知っている。
風邪だ! インフルだ! やっぱり、京都にたどり着けないの!?
すぐさま病院に検査の予約を入れる。
幸いにしてインフルではなかった。
よかった、ε- (´∀`*)ホッ
LINE通話の着信が鳴った。
今や野球観戦仲間となったクルーの1人、APちゃんだ。
「もしもし、メロディさん?」
「は”い”、お”つ”か”れ”さ”ま”…ケホン」
「……ウソですよね? まさかの風邪ですか?!」
「いやっ、大丈夫。だいじょうぶ…コロナでもインフルでもなかったから」
「やっぱり京都に行けないんですね……」
「行きたい! どうしても行きたい! これは試されてると思う!」
熱はない。
薬のおかげで咳も最小限になった。
万が一のロキソニンはバッグに詰め込んだ。
25年以上ぶりの京都にウイルスをまき散らかさずに済みそうだ。
やっと……、京都行こう! 命からがら京都行こう!