うざゴリ#12|ひとり暮らしの親の孤独死×父、人望無さすぎ問題

うざゴリ

齢73にして母から三下り半を突きつけられ「ポイ」された父。
私たち姉弟の大好きだった父は今は昔。

「縦のモノを横にもしない大酒のみの頑固なウザいゴリラ」と化した父は、浴室からひとりでぽっくり旅立った。山積みの問題と未処理の面倒と、どうしようもない笑いを数多く遺して――。合掌、うざゴリ(没75)

うざゴリ~シシテ尚、迷惑をかける父へ贈る最期の小言 #12

11名ぶんの香典は、この事務所の人達の総意。

この現実を死んで2日目の父は、どう思っているんだろう。
霊媒師なるものがこの場にいたら「お父さん、赤い顔して怒ってらっしゃいますよ」と視えないものを視ちゃうかもしれない。

グループLINEに“葬儀コース、要変更”とポストした。見るまに2件の既読がついた。

ああ、憂鬱だ。真面目なすぐ下の弟は詳しい事情説明を「今すぐに!」と求めるに決まっているから、補足を入力する。

「今、事務所。会社の人達は葬儀にいらっしゃらないことが決定」
「なんで?」
「なにかあったの?」

「11名全員欠席、香典はいただいたから安心して」
「どういうことか説明して! 話せる? 通話できる?!」
「お父さんなにかしたの?」

「電話はあと。とりあえず……小さな小さな家族葬に変更した方がいいと思う。葬儀明日でしょ? 急がないと葬儀社にも迷惑かけちゃうから。理由はあとでちゃんと言うから」
「けっきょく何人がお父さんを見送るの?」
「私達と叔母さんだけでしょ」
「人望ゼロか……」

人望“は”ゼロだね――と意味ありげなメッセージを返したい衝動に駆られたけれど、ぐっと堪えた。想定外のことに弱い長弟はさすがに卒倒しちゃうかもしれない。

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