うざゴリ#19|ひとり暮らしの親の孤独死×因果応報

うざゴリ

齢73にして母から三下り半を突きつけられ「ポイ」された父。
私たち姉弟の大好きだった父は今は昔。

「縦のモノを横にもしない大酒のみの頑固なウザいゴリラ」と化した父は、浴室からひとりでぽっくり旅立った。山積みの問題と未処理の面倒と、どうしようもない笑いを数多く遺して――。合掌、うざゴリ(没75)

うざゴリ~シシテ尚、迷惑をかける父へ贈る最期の小言 #19

その日は役所で手続きをする班と、水回りを中心に実家の掃除をする班にわかれて行動することになっていた。

長弟が浴室を、私がトイレを、末弟が台所をそれぞれに担当することにした。いや、本来は長弟が「俺が浴室とトイレを担当するわ!」と言っていたのだ。

しかし浴槽で亡くなった父は、警察の人達の手によって引き上げられた際に“いくつかの落としもの”を浴室に残していた。葬儀やなんだで数日が経ったそれはひからびてこびりつき、なかなかとれない様子。

「おえ……おえええ……!」
リビングにいる私にも台所にいる末弟にも、長弟のえづきが聞こえる。

「あの子も死にそう」
「あははははは!」

姉として弟の不幸をこれ以上は見ていられない。浴室のドアの前に立ち「トイレ掃除は私がするから安心して」と声をかけると「助かります、ありがとう……」と涙声。

「あんたが子どもの頃、おもらしした下着がお風呂場に中身そのままで置かれてあって」
「……」
「お父さんがいつも洗ってくれてた」
「……」
「お返しだね」
「……今言わないでよぉ」

苦しんでる長弟をさらに奈落の底に突き落とすと、覗きにきていた末の弟が声を殺して笑っていた。

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