うざゴリ#1|ひとり暮らしの親の孤独死×人生の3つの坂「まさか」は突然あらわれる

うざゴリ

齢73にして母から三下り半を突きつけられ「ポイ」された父。
私たち姉弟の大好きだった父は今は昔。

「縦のモノを横にもしない大酒のみの頑固なウザいゴリラ」と化した父は、浴室からひとりでぽっくり旅立った。山積みの問題と未処理の面倒と、どうしようもない笑いを数多く遺して――。合掌、うざゴリ(没75)

うざゴリ~シシテ尚、迷惑をかける父へ贈る最期の小言 #1

人生には3つの「さか」があると初めに言ったのは、小泉純一郎元総理だったか。それとも遥か彼方からそれはこの世の常なのか。

  • 上り坂
  • 下り坂
  • まさか

この歳にもなると、どれもそれなりに経験してきた。

摩天楼が臨める坂を一気に駆け上がったこともあるし、転がり落ちるように勢いをつけて坂を下ったこともある。

仰け反りそうな「まさか」にも何度も遭遇してきた。
『青天の霹靂』と呼べる経験は、幸か不幸か味わっていなかった。

父が亡くなっていた。

ずいぶんと冷めたお湯に肩までつかって、腕組みをして固まっていたらしい。らしいというのは、私は“その状態”を見ていないからだ。

190cm近い大男である父は膝を伸ばして湯船につかれないことを、何十回とこぼしていたけれど、今回はそれが幸いした。三角座りのように膝を曲げていたから沈まなかった。

人生とは、なにが幸いするのかわからない。
私の座右の銘「人間万事塞翁が馬じんかんばんじさいおうがうま」――まさにである。

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