うざゴリ#20|ひとり暮らしの親の孤独死×姉の詫び状

うざゴリ

齢73にして母から三下り半を突きつけられ「ポイ」された父。
私たち姉弟の大好きだった父は今は昔。

「縦のモノを横にもしない大酒のみの頑固なウザいゴリラ」と化した父は、浴室からひとりでぽっくり旅立った。山積みの問題と未処理の面倒と、どうしようもない笑いを数多く遺して――。合掌、うざゴリ(没75)

うざゴリ~シシテ尚、迷惑をかける父へ贈る最期の小言 #20

実家にいると嫌でも幼い頃のことを思い出す。

裕福ではあったけれど決して絵にかいたような仲良し家族ではなかった。けれど3つずつ歳の離れた2人の弟のことはなにがあっても守っていこうと子どもながらに決めていた。

「母」という共通の敵がいることで、私達3人はとても仲が良かった。

真面目な長弟はとくに私にとってからかいの対象で、彼が当時とても大切にコレクションをしていたキン肉マン消しゴムに卵黄をつけて粉をはたき、からっと揚げて天ぷらにした。

「なんで揚げるんや!」と、父に叱られたっけ。

35年越しのキンケシ天ぷらのお詫びになるだろうか。世にも汚い実家のトイレ掃除を長弟に代わって担当することにした。

それは父が亡くなっていた日にまで遡る。
警察の方々が一斉に引き上げると、家の中はとたんに冷えた。
すると身体は正直なもので――「なにこれ?!」

今から25~30年前まで駅の公衆トイレは汚くて臭かった。その8倍は汚れたトイレが目の前にある。ここはどこ? 大阪駅? ※失礼

リビングに集まって今後のことを話し合っていた弟達に「信じられないくらいトイレが汚いんだけど、なにあれ!」と訴えると、彼らは右手の人差し指を天井に向けて「2階で用を足しておいで」と笑っていた。

あれから1週間近くが経っている。
私達に内緒で父がそうっと生き返り、「さすがにもうしわけねぇ」「合わせる顔がねぇ」と掃除を済ませて再度死んだなんてことはないだろうか。ないな。

マスクは2枚の重ねづけ。百円ショップで毎年2月末から3月頃にまとめ買いしている花粉対策の「鼻ポン」にハッカ油をしみこませて鼻に詰めた。

自宅から持ってきた捨てたってかまわない服と靴下と靴に着替えて、いざ出陣。1階のトイレのドアをばばーんと開けた。すぐに閉じた。

「戦意喪失……!」
30年前の大阪駅構内のトイレよりも汚いってどういうことな! ※失礼

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