うざゴリ#25|ひとり暮らしの親の孤独死×死の費用

うざゴリ

齢73にして母から三下り半を突きつけられ「ポイ」された父。
私たち姉弟の大好きだった父は今は昔。

「縦のモノを横にもしない大酒のみの頑固なウザいゴリラ」と化した父は、浴室からひとりでぽっくり旅立った。山積みの問題と未処理の面倒と、どうしようもない笑いを数多く遺して――。合掌、うざゴリ(没75)

うざゴリ~シシテ尚、迷惑をかける父へ贈る最期の小言 #25

人が死ぬとなにかとお金がかかる。
それなのに約6万円ぽっちしか遺さず逝った父を、本気で恨んだ。

およそ1年前、弟達家族を守るために母に2,000万円の手切れ金を渡して接近禁止をとりつけた。
ここで書くことが憚られるような暴言の数々や脅迫の言葉も録音済み。それらをひっさげて士業のかたに依頼し誓約書のようなものを取り交わした。

だから私は貯金が底を尽きた。
そして弟達には、これらの事実は伏せている。
よって弟達は口にこそ出さないまでも「お姉ちゃんもお父さんと同じだ」と思っていることだろう。

このことがなによりつらかった。あなた達を守るために……と言えたらいいのだけど、母から家族崩壊他を狙われていたと知れば、長弟はふたたび鬱を発症させてしまうだろう。言えるわけがない。

「ごめん、ちょっと立て替えておいてもらえないかな」
「いいよ。フリーランスは大変だもんね、コロナ禍も長かったし、老犬達の世話にもお金がかかるんでしょ」
「ごめんね、ありがとう」

このやりとりも3度目以降はなくなった。弟達の気づかいが胸に痛いけれど、正直に言って今はとてもありがたかった。それがなお情けないのだけど。

「ここはいくらかかるんだろう」法務局の入ったビルを見上げる――。

-つづく-

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